【ブリュッセル時事】北大西洋条約機構(NATO)加盟の全カ国は5日、ブリュッセルの本部で、北欧のフィンランドとスウェーデンの加盟議定書に署名した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、冷戦中も維持してきた中立政策と決別した北欧2カ国の加盟を正式に承認。加盟各国での批准手続きが順調に進めば、年内にも31、32カ国目として加盟が実現する。
北欧勢の新規加盟で欧州の安全保障体制は大きな転換点を迎える。ただトルコは、北欧2カ国が約束したテロ対策などを履行しなければ批准しないと警告しており、手続きが難航する可能性もある。
ストルテンベルグ事務総長は署名式後の記者会見で、「歴史的な1日だ」と強調。北欧2カ国の加盟が「同盟への力強く重要な貢献となる」と語った。両国は今後、加盟国が集う会議への参加が認められる。
議定書の署名は、マドリードで先週行われたNATO首脳会議の合意に基づいている。両国は4日に加盟交渉を終えた。 北欧2カ国は5月半ばに加盟を同時申請したが、トルコがテロ組織と見なす反政府武装組織クルド労働者党(PKK)を両国が支援しているなどとして加盟に難色を示し、手続きはこう着状態に陥った。事態を打開するため、北欧2カ国は首脳会議前日の先月28日、PKKの活動を阻止することなどの譲歩策を覚書で約束。トルコが反対を撤回し加盟に必要な全加盟国の同意が得られた。
しかし、トルコは「約束の履行が重要だ」(エルドアン大統領)と主張。特にクルド人活動家らの身柄引き渡しを求めている。覚書には「迅速かつ徹底的」な対応が明記されたが、スウェーデンは実際の引き渡しは裁判所の判断に委ねる考えを示しており、批准への障害となる恐れもある。














