英首相が辞意表明 不祥事続き引責

英首相が辞意表明
不祥事続き引責

 【ロンドン時事】ジョンソン英首相は7日、国民に向けて声明を出し、与党保守党の党首を辞任すると表明した。後任党首が決まり次第、首相も辞任する。新型コロナウイルス規制違反のパーティー問題など不祥事への対応が批判を浴び、スナク財務相とジャビド保健相が5日、首相に抗議して辞任。報道によると、閣外相や政務秘書官らを含め約60人が政権を離れ、求心力が急速に低下していた。

 ジョンソン氏は官邸前で声明を読み上げ、「新たな首相となる新党首が必要だという保守党の意思が、今や明白になった」と表明。新型コロナ対策やウクライナ侵攻への対応など政権の実績を強調した上で、「たくさんのアイデアや計画(の達成)を見届けられないのは痛ましい」と、任期途中で去る悔しさをにじませた。辞任の引き金となったパーティー問題への言及や謝罪の言葉はなかった。

 後任を選ぶ保守党の党首選はこの夏行われる見通しで、ジョンソン氏は「来週に日程を発表する」と説明した。トラス外相やウォレス国防相のほか、スナク、ジャビド両氏らが有力候補に挙がっている。10月の党大会までにジョンソン氏と交代するもようだが、同氏が暫定的であれ首相職にとどまることに、党内から異論も出ている。

 ジョンソン氏は2019年7月、メイ前首相に代わって首相に就いた。難航した英国の欧州連合(EU)離脱プロセスをまとめ上げ、同年の総選挙で保守党が大勝。新型コロナのパンデミック(大流行)でもワクチンの開発・普及を強力に進めて高い評価を獲得し、「10年先まで政権は続く」とまで言われた。

 ところが昨年11月、新型コロナ規制中に官邸でパーティーが開かれていた疑惑が発覚。ジョンソン氏は当初、疑惑を否定したが、実際はパーティーが何度も繰り返されていた上、自身も参加していたと認め、罰金を科された。国民に規制に従うよう命じておきながら自身は守らない「二重基準」に、国民の怒りが噴出した。

 6月上旬には党の信任投票が行われ、約4割の党所属議員から不信任を突き付けられた。同月下旬の下院2補選では与党が全敗。最近は性的不品行で辞めた院内副幹事長をめぐり、任命責任も問われていた。

 批判が高まる中、閣僚らは再三にわたり辞任を促したが、ジョンソン氏はかたくなに拒否。醜聞をものともしない持ち前のスタイルで危機を乗り越える意向とみられたが、抗議の辞任が雪崩のように続いたことで、最終的に圧力に抗し切れなかった。

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