安倍氏銃撃、今月に入り決断か 6月にも地元で機会、動きなし

安倍氏銃撃、今月に入り決断か
6月にも地元で機会、動きなし

 安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、無職山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=が、7月に入って襲撃実行を最終決断したという趣旨の供述をしていることが15日、捜査関係者への取材で分かった。安倍氏は6月にも奈良市で演説していたが、その際には動いた形跡はないといい、奈良県警は襲撃に至る経緯を詳しく調べている。事件は15日で発生から1週間を迎えた。

 山上容疑者は8日、地元奈良市の近鉄大和西大寺駅前で安倍氏を銃撃。前日には岡山市の応援演説会場付近を訪れたが、襲撃の機会をうかがいながらも断念したとみられている。

 安倍氏は6月28日にも現場に近い大和西大寺駅南口の街頭で参院選の応援演説を行っていた。しかし、捜査関係者によると、山上容疑者が演説会場を訪れた様子はなく「6月の時はやるつもりはなかった」という趣旨の供述をしているという。

 一方で、山上容疑者は約20年前から母親が信仰する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への報復を計画し、遅くとも今年の春ごろには襲撃に使用可能な手製銃を完成させていたとされる。7月7日に岡山で襲撃しようとした際、同日未明に試し撃ちをするなど周到な準備をしており、逮捕後も「奈良で失敗しても、その先の演説会場まで追い掛け実行するつもりだった」と話したという。

 山上容疑者は安倍氏を狙った経緯について「宗教団体トップを標的としていたが、新型コロナウイルスの影響で実行に移せず、関係が深い安倍氏を標的にした」などと説明。ただ、これまでの捜査で岡山以前に安倍氏に近づこうとした形跡は確認されていないという。県警は6月末から決行までの心境の変化や背景について事情を聴いている。

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