核軍縮・不拡散の行程表提示へ 被爆地訪問の基金創設―NPT会議で首相演説

核軍縮・不拡散の行程表提示へ
被爆地訪問の基金創設―NPT会議で首相演説

 岸田文雄首相は31日から来月2日までの日程で米ニューヨークを訪れ、核拡散防止条約(NPT)再検討会議に日本の首相として初めて出席する。首相は演説を行い、「核兵器のない世界」実現に向けたロードマップ(行程表)を提示。核軍縮・不拡散への取り組みを各国に求める。世界の若者に日本の被爆地訪問を促すため、新たに基金を創設することも表明する方向だ。

 核をめぐる安全保障環境は厳しさを増しており、ウクライナ危機ではロシアが核戦力による威嚇を繰り返し、核使用への懸念が強まっている。首相は「核兵器による威嚇も使用もあってはならない」と訴え、核軍縮への行動を求める見通し。ただ、ロシアから譲歩を引き出すのは容易ではない。

 中国の核戦力の増強も懸念材料だ。中国は核弾頭保有数を公表せず不透明な核軍拡を続けており、2030年までに少なくとも核弾頭1000発を保有する意向とみられる。こうした国際情勢を踏まえ、行程表では核戦力の情報開示を求めるなど、核兵器保有国に透明性向上を迫るとみられる。

 首相は、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効や、核兵器の原料となる高濃縮ウランやプルトニウムの生産を禁止する核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の早期交渉開始も訴える見通しだ。

 基金は世界の若者に被爆地の広島、長崎への訪問を促すために設ける。唯一の戦争被爆国として、核兵器がもたらす惨禍を伝えるのが狙い。

 前回2015年のNPT再検討会議は、中東非核化の措置をめぐって決裂し、合意文書は採択できなかった。年には核使用を全面禁止する核兵器禁止条約が発効するなど、保有国と非保有国の分断は一層深まっており、橋渡し役としての日本の役割は重要性を増している。

 首相は被爆地・広島選出で、「核なき世界」実現がライフワーク。NPT再検討会議で成果を挙げ、来年広島で開催する先進7カ国首脳会議(G7サミット)に向け、機運醸成を図りたい考え。各国政治指導者らが核軍縮を議論する「国際賢人会議」を月下旬に広島で開催する意向だ。

 一方、日本は米国の「核の傘」を含む拡大抑止に依存しており、6月の核禁条約第1回締約国会議はオブザーバー参加を見送った。「核なき世界」との矛盾を指摘する声もある中、首相が保有国の受け入れ可能な提案をできるのか注目だ。

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