最低賃金、上げ幅最大31円

最低賃金、上げ幅最大31円

 中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は1日、2022年度の最低賃金の上げ幅の目安を全国加重平均で31円(3・3%)と決めた。全国平均で時給961円となる。物価高騰を背景に、上げ幅は時給で示すようになった02年度以降で最大の21年度(28円)を上回った。北海道の上げ幅は30円で、目安通り改定されれば919円になる。

 2日午前に後藤茂之厚労相に答申する。目安は各都道府県を経済情勢などに応じてA~Dの4ランクに分け、東京都、大阪府などのAと長野県、兵庫県などのBは31円、北海道や宮城県などのCと青森県や沖縄県などのDは30円とした。目安を踏まえ、都道府県ごとの審議会を経て引き上げ額をそれぞれ決め、10月をめどに新たな最低賃金が適用される。
 ウクライナ情勢や円安による物価高で労働者の生活は苦しくなっており、労使は最低賃金引き上げの必要性では認識が一致。ただ、中小企業を中心に原材料高を製品やサービスの価格に十分転嫁できておらず、収益は圧迫され、企業側は支払い能力を考慮するよう主張していた。これまで計4回の協議では上げ幅や算出根拠をめぐる労使の溝は埋まらず、水面下で調整が続けられてきた。
 目安の決定を受け、日本商工会議所は「コロナ再拡大の影響が懸念される飲食・宿泊業や、企業物価の高騰を十分価格転嫁できていない企業には非常に厳しい結果だ」とする三村明夫会頭の談話を公表した。
 岸田政権にとっても最低賃金は重要課題だ。6月に閣議決定した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」には「できる限り早期に最低賃金の全国加重平均が1000円以上となることを目指し、引き上げに取り組む」と盛り込んだ。

 最低賃金は都道府県ごとに定められ、すべての労働者を対象に支払われなければならない最低限の時給。21年度は全国平均で930円となった。16年度以降は20年度を除き毎年20円超上がり、上昇率は3%程度で推移してきた。

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る