【ニューヨーク時事】岸田文雄首相は1日(日本時間2日未明)、米ニューヨークの国連本部で開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議で演説し、「核兵器のない世界」に向けた「ヒロシマ・アクション・プラン」を提唱した。核兵器不使用の継続が重要との認識を国際社会が共有すべきだと主張。核兵器保有国に核戦力の透明性向上を呼び掛けた。
ヒロシマ・アクション・プランは、核軍縮・不拡散に向けた行程表となる。首相は、核兵器に必要な高濃縮ウランなど兵器用核分裂性物質の生産状況に関する情報開示を保有国に要請。包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を目指し、9月の国連総会に合わせ、批准国の首脳級会合を主催する方針を打ち出した。
ウクライナに侵攻したロシアが核による威嚇を繰り返したことにも触れ、「核兵器のない世界への道のりは一層厳しくなっている」と懸念を訴えた。その上で「被爆地・広島出身の首相として、現実的な歩みを一歩ずつ進めていかなくてはならない。わが国はNPTの守護者としてNPTをしっかりと守り抜く」と述べ、分断が深まる保有国と非保有国の「橋渡し役」を担う決意を強調した。
核兵器数削減をめぐっては、米ロ、米中による対話の必要性を指摘。北朝鮮の核・ミサイル問題に取り組む考えも示した。
世界の若者を広島・長崎に招いて被爆の実相を伝えるため、国連に「ユース非核リーダー基金」を創設し、1000万ドル(約13億3000万円)を拠出すると表明。各国の政治指導者が核軍縮を議論する「国際賢人会議」を広島で11月23日に開催する意向も明らかにした。
日本の首相が再検討会議に出席するのは初めて。演説後、首相は記者団に「来年のG7広島サミット(先進7カ国首脳会議)につなげるためにも、まずは今回の再検討会議で具体的な成果を出すためにしっかり努力したい」と述べた。














