小麦価格、どう決まる? ウクライナ情勢悪化で高騰

小麦価格、どう決まる?
ウクライナ情勢悪化で高騰

 政府は、輸入小麦を国内製粉会社に売り渡す価格について、10月以降も現在の水準に据え置く方向で検討に入った。ロシアのウクライナ侵攻を背景に小麦相場は急騰。売り渡し価格を抑えることで、食品などの相次ぐ値上げに苦しむ家計へのさらなる打撃を防ぐのが狙いだ。

 ―そもそも小麦はどのくらい輸入しているの。

 需要の8~9割を海外に依存している。2016~20年度の平均年間流通量を見ると、国産万トンに対し、輸入は488万トン。このうち米国が49・8%と最大で、カナダ33・4%、オーストラリア16・8%と3カ国が大半を占める。

 ―政府が小麦の価格を決めているの。

 小麦はパンや麺類など多くの食品の原料となる。品質の良い小麦を大量に安定供給するため、政府が大口の購入者となって外国から仕入れているんだ。政府は輸入小麦を製粉会社に売却するが、毎年4月と10月にその売り渡し価格を改定する。

 ―売り渡し価格はどう決まるの。

 国家貿易として政府が小麦を買い付けるようになったのは終戦後だが、小麦の国際市況を反映した現行制度が始まったのは07年4月。海上運賃や為替動向も含めた直近6カ月間の平均買い付け価格に、国産小麦の生産振興費などを上乗せして決める仕組みだ。

 ―小麦の価格は上昇しているの。

 昨年夏の干ばつで米国やカナダ産小麦が不作になり、小麦の国際価格は高水準で推移していた。そこに、世界有数の小麦輸出国であるウクライナ情勢の悪化が加わり、供給懸念が一気に高まったんだ。農林水産省は、今年10月の改定で、売り渡し価格は4月より2割程度上昇すると試算。現行制度での最高値だった08年10月の1トン当たり7万6030円を更新するとみていた。

 ―据え置きで暮らしは少し楽になるのかな。

 そうとも言えない。農水省によると、小麦関連製品の小売価格に占める原料小麦の割合は、食パンで8%、外食のうどんや中華そばで1%にすぎない。調理のための電気やガス、食用油など他の原料も高騰しており、効果は不透明だ。

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