政府は、ガソリン価格を抑える補助金事業について、9月末の期限を延長し、10月以降も継続する方向で検討している。ただ、事業の拡充と延長で財政負担は大きく膨らんでおり、手厚い支援策を混乱なく終了させる「出口戦略」も課題となる。
―ガソリン補助金とは。
補助金事業は今年1月、ガソリンや軽油、灯油、重油の価格を抑えるための「激変緩和措置」としてスタート。石油元売り会社に支給する補助金の上限額は当初、1リットル当たり5円だった。ロシアによるウクライナ侵攻で原油価格が一段と高騰したため、3月に25円に拡充。さらに4月に決定した物価高騰対策では、上限額を35円に引き上げ、4月末までの期限を9月末まで延長した。
―補助金の効果は出ているのか。
8月日時点のレギュラーガソリン1リットルの店頭価格(全国平均)は168・5円で、経済産業省は抑制効果を31・9円と試算。西村康稔経産相は「(補助金で)170円前後で抑えてきている」と強調している。内閣府は5~9月の消費者物価指数の上昇率を0・5㌽抑える効果があると推計する。
―10月以降はどうなる。
岸田文雄首相は8月15日の「物価・賃金・生活総合対策本部」で、10月以降の対策の具体化を指示し、補助金延長の検討に入った。ただ、9月末までの補助金に充てる予算は約1兆9000億円に膨らんでおり、現行制度を単純延長すれば、1カ月に約3000億円かかる計算だ。物価高対策を取りまとめる山際大志郎経済財政担当相は「続けるなら出口をどの辺に見据えるのか考えないといけない」と出口戦略の必要性に言及している。
―具体的には。
補助金でガソリン価格を抑えようとすればするほど、需給で決まる市場の価格形成メカニズムをゆがめてしまう。本来の店頭価格との差が広がり、終了時に駆け込み需要とその反動で大きな混乱が起きる可能性がある。このため、現在168円としているガソリンの価格抑制の目標額を徐々に引き上げて、補助金額を縮小していく仕組みの導入などが検討課題となりそうだ。














