【サンパウロ時事】アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで20日、サッカーのワールドカップ（Ｗ杯）カタール大会で36年ぶり３度目の優勝を果たした代表チームの凱旋（がいせん）パレードが行われた。公共放送などによると、４００万人以上が祖国の英雄を一目見ようと街に繰り出した。あまりの人出に一行は目的地である市中心部の記念塔オベリスコにたどり着けず、途中からヘリコプターでの「凱旋飛行」に切り替わった。

　大会ＭＶＰのメッシは、インターネット交流サイト（ＳＮＳ）に「われわれが勝ち取ったＷ杯は、天国から勇気づけてくれたディエゴ（故マラドーナ氏）のものでもある」と投稿。ファンや、優勝に届かなかった過去の代表への感謝を示し、「失望がなければ成功はやってこない。さあ行こう、アルゼンチン」と国民を鼓舞した。

　パレードでは、陸橋から代表のバスに飛び乗ろうとして失敗し、道路に落下するファンも。数十人の負傷者が出たもようだ。

　アルゼンチンは、歴代政権の失政で経済状況が悪化。国民の約３割が貧困にあえぎ、今年のインフレ率は１００％近くを記録すると予想されている。Ｗ杯優勝は、暗いニュースが多い同国にあって久々の朗報となった。