指示系統、金の流れ解明焦点 連続強盗と類似点多く―比拠点の特殊詐欺グループ・警視庁

指示系統、金の流れ解明焦点
連続強盗と類似点多く―比拠点の特殊詐欺グループ・警視庁

 警視庁は7日、フィリピンの入管施設に収容されていた特殊詐欺グループ幹部ら4人のうち2人を逮捕した。残る2人も9日、日本に送還される。

 グループを巡っては、フィリピンからの指示や闇バイトでの実行役確保など、全国で相次ぐ強盗事件との類似点が多く、同庁は指示系統や金の流れを中心に、実態解明に向けた捜査を本格化させる。

 4人は渡辺優樹(38)、今村磨人(38)、藤田聖也(38)、小島智信(45)各容疑者。グループはフィリピン国内を拠点に日本の高齢者ら少なくとも2300人以上から60億円超を詐取した疑いがある。

 捜査関係者によると、リーダー格は渡辺容疑者とみられ、SNSの「闇バイト」でメンバーを募集していた。フィリピンから警察官をかたって電話をかけさせる一方、日本のメンバーにはキャッシュカードの受け取りを指示するなど、国境をまたぎグループを運営していた。

 詐欺の電話をする「かけ子」を廃ホテルに集め、せりふが書かれたマニュアルや名簿を基に高齢者を狙うなど、グループの手口は共通している。

 電話で「詐欺の犯人を捕まえたらリストに名前があった」と不安をあおった後、国内のメンバーが財務省職員を装って被害者宅を訪問。「犯罪に巻き込まれるのを防ぐ」と理由を付けて封筒に入れさせたカードをすり替えて盗み、現金を引き出すなどしていた。

 詐取金は数千万円単位の現金でメンバーにフィリピンまで飛行機で運ばせるなどした。詐取額に応じて報酬が変わる仕組みで、フィリピン国内のリゾート旅行が与えられることもあった。

 2019年11月、フィリピン当局は同国の拠点にいた36人を拘束。これまでに日本国内を含め、摘発されたメンバーは70人以上に上る。

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