ホタテ、欧州拡販へ 中国禁輸で本腰

ホタテ、欧州拡販へ
中国禁輸で本腰
ドイツの食品見本市「アヌーガ」で振る舞われた北海道産ホタテの創作料理=7日、独西部ケルン(時事)

 【ケルン時事】中国による禁輸で行き場を失ったホタテをはじめとする日本産水産物について、欧州へ販路の転換を目指す取り組みが本格化している。英仏でPR活動が実施されたほか、ドイツではプロ向けの試食会を開催。米国やアジアと比べて輸出実績は少ないものの、農林水産省の担当者は「日本の水産物に対する需要は高まっており、伸びる余地は大きいはずだ」と意気込んでいる。

 「繊細な味わいだ」「ホテルや高級レストランで使えそう」。独西部ケルンで開かれている欧州最大級の食品見本市「アヌーガ」で7日、現地のミシュラン一つ星レストランのシェフによる北海道産ホタテの創作料理が、バイヤーや食品ジャーナリストらに振る舞われた。日本貿易振興機構(ジェトロ)と農水省が急きょ実施を決めた。

 北海道の鈴木直道知事はビデオメッセージで「環境に配慮した持続可能な漁業だと認められている。詰まったうまみと肉厚な貝柱の歯ごたえが魅力だ」とアピール。会場では、大分や愛媛のブリ、福島や宮城の日本酒も提供された。

 中国は東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出を理由に、日本産水産物の輸入を全面停止。中国向けの割合が大きかったホタテの打撃は深刻で、8月の対中輸出額は前年同月と比べて71・3%減った。

 こうした中、欧州では9月以降、ラグビーのワールドカップ・フランス大会の開催地や英ロンドンの日本イベントで、ホタテのPRが開始。来年4月にはスペインでの水産物見本市で販売促進も予定されている。欧州連合(EU)が原発事故後に導入した日本産品の輸入規制を8月に完全撤廃したことも追い風になりそうだ。

 一方、ドイツですし店向けに冷凍水産物を扱う事業者は、処理水に対する心配はないとしつつ、「値段が高ければ買われない」と指摘。比較的安価なカナダ産などが競合相手になるとの見方を示した。

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