強制不妊、和解へ合意書締結 慰謝料最大1500万円―国が謝罪、全訴訟終結へ

強制不妊、和解へ合意書締結
慰謝料最大1500万円―国が謝罪、全訴訟終結へ

 旧優生保護法に基づき不妊手術を強制されたとして、被害者が国に損害賠償を求めている訴訟で、国と原告側は13日、和解に向けた合意書を締結した。手術を受けた原告1人当たり最大1500万円、配偶者には200万円の慰謝料を支払うことが柱で、国による謝罪も盛り込まれた。最初の提訴から6年7カ月以上を経て、一連の訴訟は終結に向かう。

 合意に基づく和解の対象となるのは、3高裁6地裁で係争中の19人の原告。加藤鮎子こども政策担当相と全国原告団・弁護団の代表が式に出席し、合意書に調印した。

 調印後、加藤氏は「多大な苦痛と多くの苦難に心から深く謝罪申し上げる」と頭を下げた。原告の飯塚淳子さん(仮名、70代)は「私が求め続けてきたことがやっと実現した」としつつ、「国に謝罪されても賠償されても、手術によって狂わされた人生は戻ってきません」と声を詰まらせた。

 国は7月に最高裁で確定した認容額を基に損害賠償額を算定した。手術を受けた本人には慰謝料1500万円と弁護士費用を支払う。本人と配偶者が原告になっている場合は、慰謝料として本人に1300万円、配偶者に200万円と、それぞれの弁護士費用を支払う。確定判決の認容額が合意金額を下回る原告については差額を補塡(ほてん)する。

 合意書では、7月の最高裁判決が旧優生保護法の規定を違憲として国の賠償責任を認めたことを受け、「旧優生保護法を執行していた立場として、政府の責任は極めて重大なものであることを自覚する」と明記。「あってはならない人権侵害を行い、被害者の方々の心身に長年にわたり多大な苦痛と苦難を与えてきたことを真摯(しんし)に反省し、心より深く謝罪申し上げる」とした。

 その上で、「優生思想および障害者に対する偏見差別を根絶し、全ての個人が疾病や障害の有無で分け隔てられることなく尊厳が尊重される社会を実現すべく最大限努力する」と強調。今後、検証を含む恒久対策や、原告側と関係各省庁との定期的な協議の場の設置などを盛り込んだ基本合意書を締結する方針を示した。

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