「被災地の日常」撮り続ける 復興向けSNSで発信―珠洲の写真館店主・能登地震

「被災地の日常」撮り続ける
復興向けSNSで発信―珠洲の写真館店主・能登地震

 石川県珠洲市の写真館店主が、能登半島地震で被災した地元を撮影し、X(旧ツイッター)で発信している。「珠洲の復興のために」。深刻な被害の爪痕が残る中、再起に向けて街の日常を撮り続ける決意だ。

 大正時代から続く「サカスタジオ」。3代目の坂健生さん(66)は地震が起きた元日夕、店舗2階で翌週に控えた成人式の撮影準備や、中学と高校の卒業アルバムの編集作業をしていた。

 「ドーン」。突き上げるような揺れに、思わず柱にしがみついた。窓の外に目をやると、隣家が土煙を上げながら崩れていた。撮影機材やガラスが散乱する中、写真データの入るパソコンやカメラを持ち出し避難した。

 幸い店舗建物に大きな被害はなく、1週間後に電気の復旧を待ってパソコンを起動すると、写真データなどが残っていた。卒業アルバム用も無事で、「コロナ禍で苦しい思いをしてきた子たちだからね。しっかり仕上げて届けたい」と思いを新たにした。

 30代の頃、地元テレビ局のカメラマンをしていたこともあり、「記録に残すのは習性」という。被災後の市内を撮影し、Xに投稿を始めた。倒壊した家屋や津波被害に遭ったショッピングセンター、救援活動に当たる人々。姿が一変した街に向けシャッターを切る。

 「気持ちが暗くなり過ぎないように」と自然風景も掲載。商店の再開や炊き出しのメニューなど、被災者に向けた「プチ情報」も取り上げる。

 古くから住民の素朴な人柄を「能登はやさしや土までも」と言う。「それ故に、つらくても本心を自分の中にため込んでしまう」と坂さん。復興に向け、「被災者目線で課題も希望も発信していきたい」と語った。

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