日高山脈襟裳国定公園の国立公園化に向け、環境省は3年後の2023年8月ごろの国立公園指定をめどに作業を進めている。ただ新型コロナウイルス感染症対策で、計画策定担当者らの在宅勤務による作業などが続いており、計画作成はやや遅れ気味。「公園計画素案を市町村に示す時期は年度内になるか、それ以降かはまだ決まっていない」(道地方環境事務所)と話している。
1981年10月に道管理の国定公園に指定された日高山脈襟裳国定公園について、環境省は2010年、同公園を含む日高山脈周辺を「国立公園の新規指定」または「国定公園の拡張」の対象候補地に選定。16~18年度の3カ年で日高山脈周辺の自然環境や利活用方法などを調査した。この結果、同公園は傑出した地形地質や自然環境により国立公園の要件があると判断し、同省が指定方針を決定している。
19年度以降は、具体的な国立公園の区域、特別保護地区など地種区分、利用施設計画などを示す「公園計画素案(案)」を作成している段階。23年8月ごろの国立公園指定予定については、様似町が環境省に確認して町議会の所管委員会で報告している。
公園計画素案が策定された後は、各関係市町村に意見を照会し、地権者などとの協議に入る。素案区域で地権者の同意が得られない場合、拒否権は各市町村にあり、国立公園の区域に含めない。
その後はパブリックコメント(意見公募)を通して環境省案を完成させて審議会に諮問し、官報告示で国立公園の指定となる。
□ □
日高山脈襟裳国定公園は総面積10万3447ヘクタールで国定公園としては国内最大。日高と十勝両管内13市町村にまたがる。日高山脈は「北海道の背骨」と呼ばれ、150キロにわたって雄大な山々が連なる。プレートの衝突で形成された山脈で氷河の痕跡のカール地形や”日本100名山”の幌尻岳などは有名。固有種の高山植物など希少な動植物がいるアポイ岳、全国的に知られる襟裳岬などがある。

















