苫小牧市音羽町のスナック「スレスレ」が22日を最後に、半世紀以上続いた店を閉める。新型コロナウイルスの緊急事態宣言の解除後、1カ月ほど営業を再開したが、同店を営む河越睦雄さん(84)、征子さん(77)夫妻は、外出自粛で低下してしまった体力に自信が持てなくなった。20日から3日間のみ営業し、常連客らに感謝と別れを告げる。征子さんは「長い間通ってくれたお客さんに本当にお世話になった」としみじみ語る。
1967年、札幌市から苫小牧市へ移り住み、8月に開店。怪しげな名前が興味をひくかもしれないと「スレスレ」と名付けた。老朽化したため84年、現在の自宅兼店舗に移転し、夫婦2人で53年間、店を切り盛りしてきた。
開店当時、地域には飲食店が少なく、幅広い世代の客が押し寄せた。カラオケもない時代で、店内にはジュークボックスを設置した。苫小牧港の開港(63年)などでまちが栄えた60~70年代、市内に企業が増え始めると、町内にもスナックや居酒屋が急増した。
80年代の最盛期、繁華街は歩くと肩がぶつかるほどのにぎわいで、河越夫妻は「女性スタッフを20人ほど雇う時期もあった」と振り返る。その後、景気低迷とともに同町の飲食店は減り始め、現在は最盛期の半分以下に。「10年ぐらい前から飲み歩く人が減ったように感じる」と征子さんは話す。それでも「仕事で市外に拠点が移っても、苫小牧に帰ってきたときに店を訪ねてくれる人がいてうれしかった」と笑顔を見せる。
2年ほど前から、加齢による体力低下を感じ、営業日を予約が入った日と金、土曜日の2日間のみに限定してきた。コロナ禍は予想もしなかったことだが、「この際、店は閉めよう」と2人の気持ちは固まった。征子さんは「今後は近所で居酒屋を営む娘の店を手伝う」という。
睦雄さんは「忙しいときも大変だという実感はなかった。来店客はみんな優しく、親子3世代で訪れる人もいた」と充実感をにじませ、精いっぱいの感謝を伝えるため最後の3日間に備えている。
















