来春から鵡川高校野球部の監督として指揮を執る小池啓之氏と報道陣との一問一答は次の通り。

　―監督打診を受けて。

　「自分の中では、３年前に現場に一区切りを付けたと思っていたので、驚き以外にない。竹中町長から話を受けた時、熱意と鵡川高校野球部に対する愛情を感じたし、以前、鵡川高野球部に携わってきた人間としてうれしいこと。心を動かされ、覚悟を決めなければいけないという気持ちになった」

　―当時と比べて現状の野球部の印象は。

　「変わったと思うのは、今の子たちはあまり自信がないと感じたこと。ただ、野球に取り組む姿勢やひたむきさは鬼海監督がしっかり受け継いでいる。時間が許す限りだが、１～２カ月くらいに１度来た時に１～２時間割いて生徒たちと話をすることがあるが、真剣に聞いている。特に今の３年生は震災の後のことの話を聞いて勉強になった」

　―昨年、佐藤茂富元監督が亡くなったことも影響はあったか。

　「もし、茂富先生が亡くなっていなかったら、鬼海監督も決断はしなかったと思う。そういう意味で一つの大きな転機だったのでは。でも、まさかその後任の話がこちらにくるとは考えもしなかった」

　―（むかわ町は）２年を目途にと言っている。

　「僕が高齢ということで（町が）気を使ってくれたのだと思う。ただ、やっている間は言い訳なしに甲子園を狙わなければ、子どもたちが何も得られずに終わってしまう。親御さんとの約束もあるし、後進の指導者を育てながらやっていきたい。２年は自分の体の方も持ってくれ、という思い。高校野球の指導者を２年ではやめられないという思いはある。町が許してくれるのであれば、そこは覚悟している」

　―４月に就任するまでの間、チームへの関わり方は。

　「そこまでは鬼海監督がやるので心配していない。まずは鬼海監督が高校野球の指導者としてしっかり足跡を残していけるか。後始末は任せておけという思い。全面的に信頼しているので、彼の残した跡を基礎にして、新チームを指導していきたい」

　―小池監督として、どういう戦い方を目指す。

　「今まで全国でも、鵡川高でも、旭川南高でもやっているのでスタイルが変わることはない。その時の選手層によっていろんな形がある。ただ、一番大事なのは人間力の向上。私もこの２、３年、現場を離れて自分を見詰め直した時に、自分自身が非常に未熟な人間だと感じた。この機会に生徒たちと一緒に少しでも高めていければ。そうでないと、僕の言葉は生徒には伝わらないと思う。そこは時代が変わってもぶれない。本塁打を打つとか、速い球を投げるとか、野球が上手であっても、普段の生活がいいかげんな生徒は意地でも使わない」