アイヌ民族の女性たちが口元などに施していたシヌイエ(入れ墨)をテーマにしたイベント「シヌイエ アイヌ女性の入墨を巡る写真展」が11日から、白老町大町3の空きテナント(創作一心跡地)で開かれる。明治時代の同化政策で禁止されたシヌイエの風習について昔の写真や文章で考察する。
アイヌ女性はかつて、12~16歳ぐらいになると、通過儀礼的に口元や手の甲などにシヌイエを施した。入れ墨をしなければ一人前の女性として認められず、結婚や儀式にも参加できなかったとされる。そうした伝統の風習は、明治時代の同化政策で禁止された。
写真展は、アイヌ民族の伝統歌を伝える女性グループ「マレウレウ」メンバーのマユンキキさんが企画。アイヌ民族をテーマに撮影活動を続ける写真家池田宏さんとタッグを組み、飛生アートコミュニティー(白老町竹浦)主催の飛生芸術祭の一環として開催する。
会場では、シヌイエを施した昔の女性の姿を伝える古い写真や、ペイントで伝統を再現した現代女性たちを捉えた池田さんの作品などを展示。マユンキキさんがシヌイエの歴史や文化について調査・研究した成果を文章でまとめたパネルも並べる。
展示写真の中には、マユンキキさんが文献などを参考に伝統的な技法で自らの手にシヌイエを施す様子を写したものもある。マユンキキさんは「現代のシヌイエはイベントや儀礼の際にペイントを施すのみとなり、このままでは伝統文化が消滅してしまう。シヌイエが持つ固有の美しさを伝えたい」としている。
開催期間は22日まで(14、15日は休み)。時間は午前10時から午後4時で入場無料。

















