胆振東部地震で大規模な山腹崩壊が起きた厚真町朝日の山に、元建設業の大西英松さん(79)は慰霊碑を建てた。2018年9月6日、山から削り取られた土砂や大木に巻き込まれ、麓に住む畑島武司さん(当時86)と妻の富子さん(同81)が帰らぬ人となった。山は自らの所有地だった。離れた同町美里に住む大西さんは無事だったが、悲しさが込み上げた。「畑島さんのために何かしたい」。考えついたのが、慰霊碑の建設だった。
震度7の地震に見舞われた厚真町だが、大西さんの家に大きな損壊はなく、家族も含めけが人はいなかった。しかし、多くの町民が亡くなったことをニュースで知った。「ほとんどが知っている人だったのでショックだった」と振り返る。
さらに、自身が持つ土地で夫婦2人が亡くなった事実に、いてもたってもいられなかった。崩壊した山の補強が完了するのを待って、今年4月から慰霊碑の設置作業を始めた。
8月末、かつて畑島さんの家があった場所から40メートルほど上の斜面に、幅1・8メートル、高さ1・2メートル、奥行き1・6メートルの慰霊碑が完成した。
碑には、震災の記憶をつなぐ思いも込めて「平成30年9月6日北海道胆振東部地震」と刻んだ。今後、周辺に木を植えて整備することも検討するという。
山は現在、すっかり緑に染まったが、完全に復旧するまでにはまだ時間がかかる。大西さんは「大それた管理はできないけれど、この慰霊碑を見守っていきたい」と話し、6日も静かに手を合わせた。
















