厚真町社会福祉協議会の新しい会長にこのほど、前副会長の大橋正治氏(72)が就任した。8月の理事会を経て選任された。2018年9月に発生した胆振東部地震で震度7を観測し、大きな被害を受けた同町にあって、福祉サービスの充実や被災者支援に向けて町社協が果たす役割は大きい。意気込みや今後の取り組みなどを聞いた。
―就任した現在の心境は。
「1カ月たった。町社協の事業と町の委託事業を抱える中、仮設住宅に入居している方が次の住まいに移る期限が迫っている。このタイミングで後押しを受けて大任を担う。仕事は幅広いが、事業を滞りなく行うことが会長としての役割だと思っている」
―胆振東部地震から2年がたった今の町の状況をどう捉えるか。
「東日本大震災や台風などの水害、熊本地震など他の災害と比べてもインフラはかなり整備され、復興の進み具合としては速いと感じる。ただ、仮設住宅に入られている方は今後、新たな生活拠点で新しい絆をつくっていかなければならない。地震後の復興の取り組みの最中に、新型コロナウイルス感染拡大で交流の場が閉ざされた中で、次の住まいに移ることになる。そこをいかにカバーできるか」
「今までは応急仮設住宅の談話室を使いながら住民同士のつながりをつくってきて、ようやく打ち解けてきたところでそれぞれが再建した住宅や災害公営住宅など別々の場所に移ってしまう。共通の話題などがあればいいのだが、町社協や地域ボランティアで行う地区のサロンに参加してもらうようなことも大事になる。新しい場所で地域になじむには時間がかかるが、そのお手伝い、寄り添った取り組みが課題だ」
―被災者の心のケアが非常に重要になっています。
「生活支援相談員が巡回し、被災者を見守る活動をしているが、仮設住宅から退去したら終わり、というものではない。心のケアとして活動期間の延長を社協として行政などに強く要求していく。被災された方が安心して暮らせるように、生活支援相談員や民生委員の協力を得て、継続した支援をしていきたい」
―地域で抱えている課題については。
「町社協だけではなく、町全体の課題として、震災とコロナ禍の影響で多くの行事やイベントが軒並み中止や延期になり、人と人とのつながりが薄れていく可能性がある。生活のスタイルが変わってきている中、われわれも今まで通りではいけないと感じている。まだ暗中模索の段階だ」
―意気込みを。
「今、準職員、パートも含めると町社協は60人ほどいるが、働く人たちとうまく連携を取りながら、働きやすい職場をつくっていきたい。それが町民のサービスや不安を解消させることにつながる」

















