98歳の高齢ながら白老町の高齢者大学で書道を学び続ける女性がいる。大正生まれで虎杖浜に住む松嶋澄子さん。毎月3回、自宅から1人でバスに乗り、大学の書道クラブへ通う。「書道は私の生きがい」と、秋の町文化祭への出品に向けて仲間と共に制作に励んでいる。21日は敬老の日。
旧高校の古い木造校舎を活用した高齢者学習センター(東町)。この施設を教室にした高齢者大学の書道クラブで、松嶋さんは約30年前から学んでいる。千田素鳳さんの指導で熱心に練習を重ね、作品を書道展へ出品。日本を代表する書道展の一つとして知られる国際書道協会「国際現代書道展」で入賞するほど腕を上げている。
1922(大正11)年、現在の美唄市で生まれ、21歳の時、結婚のため白老の虎杖浜へ移住。夫を若くして亡くし、家計を支えつつ4人の子供を育て上げた。子供たちが独立し、第二の人生を歩み始めた頃、心の中に湧き起こってきたのは勉学心。「戦時中は学校になかなか通えなかった。勉強をやり直したい」と、65歳で高齢者大学に入学し、各種講座で生涯学習に臨んだ。
大学でコーラスや生け花、三味線などさまざまな分野にチャレンジした中、最も興味を抱いたのは書道だった。4年間の大学本科を経て現在、研究科に所属しながらクラブ活動で書を続けている。
26人が所属する月3回の書道クラブに参加するため、98歳になった今も1人でバスを使って通学。凛とした所作で書に向き合い、達筆を振るう姿はクラブの仲間に刺激を与えている。指導者の千田さんは「教室のリーダー格で、みんなを引っ張ってきた存在。休まずに通い続け、上達へ努力する姿はクラブ員にとっても心の励みになっている」とたたえる。
松嶋さんは、10月31日と11月1日に白老コミュニティーセンターで開かれる町文化祭へ出す作品の制作に挑んでいる。「先生の指導を受けながら、クラブの仲間と一緒に書道を楽しむことが私の生きがい」と言い、「書は本当に奥深く、100歳まで生きて続けたい」と今もなお向上心に燃えている。
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白老町の人口統計によると、8月末時点の65歳以上は7475人で、高齢化率は45・53%と全人口の半数近くに達する。100歳以上は15人おり、内訳は100歳6人、101歳4人、102歳2人、103歳1人、104歳2人。

















