「木彫り熊」若者に新鮮? 過去最大級 来場者2000人  白老

「木彫り熊」若者に新鮮? 過去最大級 来場者2000人  白老
人気を呼んだ仙台藩白老元陣屋資料館の木彫り熊考察展

 白老町の仙台藩白老元陣屋資料館で開かれていた「白老、北海道の木彫り熊を巡る考察展」の来場者数が、閉幕の22日までの1カ月間に約2000人を数えた。同資料館の企画展としては過去最大級の入り込みとなり、関係者は「木彫り熊がこれほど注目を集めるとは」と驚いている。

 昭和期の白老町で盛んに生産された木彫り熊にスポットを当てた考察展は、自然や文化など地域資源を活用した芸術文化活動「ウイマム文化芸術プロジェクト」(文化庁、実行委員会主催)の一環。同資料館の企画展に位置付けて8月22日に開幕した。

 会場では白老や、北海道で木彫り熊作りのルーツとされる渡島管内八雲町、旭川市の彫り師が手掛けた作品約220点を展示し、民芸品にとどまらない文化的価値の高さを紹介。道内で出土した熊の意匠付きの土器やアイヌ民族の民具なども並べ、先史時代から続く熊と人の関わりも伝えた。関連行事でアーティスト集団シルキオプロジェクトによる「熊のプリント体験」、美術評論家で同展を監修した中村一典さん(札幌)のギャラリートークも催した。

 資料館の集計によると、期間中(開館29日間)の来場者は1976人に上り、企画展としては過去最多レベルになったという。全体の7割に当たる1380人が町外から足を運び、中にはインターネットのSNS(交流サイト)などで開催情報を得て、関東圏や大阪など本州から訪れた人もいる。

 また、白老町ポロト湖畔のアイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)の入場券を資料館窓口に示すと、入館料が50円引きとなるサービスを利用した人が250人おり、「ウポポイを見学した後、資料館へ訪れる人も多かった」と言う。

 考察展を鑑賞した人は全体的に20代から30代の女性など若者が目立ち、武永真館長は「過去のブームを知らない若い世代にとって木彫り熊は新鮮に感じ、引き付けたのではないか」とみる。

 木彫り熊をテーマにした企画展は昨年も開催し、2週間の期間中に1000人超が来場する人気となった。

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