21年度アイヌ政策関連予算概算要求 61億3800万円に

21年度アイヌ政策関連予算概算要求 61億3800万円に
管理運営費の概算要求額が今年度当初予算比8%増となったウポポイ

 内閣官房アイヌ総合政策室は、各省庁の2021年度アイヌ政策関連予算の概算要求額を取りまとめた。総額は61億3800万円で、今年度当初予算比で9%伸びた。白老町で開業した民族共生象徴空間(ウポポイ)関連では、施設の管理運営費等として同8%増の31億2300万円を盛り込んだ。自治体のアイヌ文化振興策などを後押しするアイヌ政策推進交付金は、同15%増の23億300万円の要求額を組んだ。

 概算要求額は、内閣府、国土交通省、文部科学省、農林水産省、厚生労働省など各省が21年度に計画するアイヌ関連事業の予算総額で、今後財務省と協議する。公益財団法人アイヌ民族文化財団(本部札幌市)が管理運営するウポポイ関連では、国立アイヌ民族博物館や国立民族共生公園、慰霊施設の管理運営費として31億1600万円。慰霊施設関連で、アイヌ民族の遺骨返還に向けた手続きの支援などとして700万円を盛った。

 19年5月施行のアイヌ施策推進法に基づくアイヌ政策推進交付金は、今年度当初予算に比べ3億円増やした。同交付金は、アイヌ施策推進地域計画を策定した市町村の申請に基づき、アイヌ文化を生かした地域振興策の費用を支給する制度。白老町では今年度、アイヌ文様ラッピングバスの運行やアイヌ文化保存・伝承の振興事業などに交付金を活用。21年度も引き続き、事業費の確保に向けて申請手続きを取る方針だ。

 アイヌの人たちの生活向上事業も引き続き計画し、概算要求で総額3億6200万円を盛った。事業は修学支援(高校生や大学生への奨学金補助)で7000万円、雇用と生活の安定(就職相談や生活館運営補助)で9800万円、中小企業の産業振興(アイヌ民工芸品の展示会や研修会の開催費補助)で700万円、農林漁業振興(経営近代化施設の整備補助)で1億8100万円、生活安定(生活相談事業)で600万円などを組み込んだ。

 この他、アイヌ文化の振興・普及啓発事業費として、アイヌ民族文化財団への補助金3億900万円、消滅危機にあるアイヌ語の保存・継承に向けたアーカイブ(保存記録)事業費2000万円を要求する。さらに、国のアイヌ政策推進会議の開催費など1800万円、アイヌの人たちへの偏見や差別を無くし、国民理解を促すインターネット広告費400万円なども盛った。

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る