記者コラム風 別 れ

記者コラム風 別 れ

 彼が助けを求めたのは、小生が20代半ばのころだったか。1時間に6万部という速さで印刷された新聞紙の通るライン上で不具合が発生。プレスセンターと呼ばれる本紙工場の2階から1階へ、手動で新聞を運ぶ事態に陥った。

 当時仕事を見つけるのが下手なのか、単なる怠け者なのか、勇んで応援に駆け付けた小生は数十部の新聞紙を抱えて階段を何往復もした。配達時間が遅れ、読者の方々には迷惑をお掛けしたが、彼は新聞を届ける使命感を生意気な若造に伝えようとしたのではないか。

 名は輪転機と言う。2004年に導入された高さ13・9メートル、全長15・3メートルにもなる巨大なタワー型機械は9月30日で役目を終えた。「停機式」で数年ぶりの再会。小生が最初に書いた記事も、時間をかけ仕上げた自己満足の傑作も、すべて彼が印刷し読者の目に触れられるようにしてくれた。

 「やっぱり私がいないとだめか」。そう思われない仕事を―と別れの日に固く誓う。(北)

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