全国の大学などが研究目的で収集、保管していたアイヌ民族の遺骨を納めた白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)の慰霊施設で、北海道アイヌ協会は14日、鎮魂式と供養の儀礼を行った。関係者50人が集まった式のあいさつで同協会の大川勝理事長は、各大学の遺骨収集の経緯について「背景や動機、研究成果がアイヌや社会に還元されたのかなど、大学側の説明責任は問われ続け、誠意ある対応を求めていく」と述べた。
鎮魂式には北海道大、東京大、京都大など7大学の代表者と、大川理事長や加藤忠前理事長ら同協会関係者が参加。1610体の遺骨を安置した慰霊施設に黙とうをささげ、献花した。
引き続き、墓所に隣接する慰霊行事施設で、新ひだかアイヌ協会メンバーが祭司を務める儀礼カムイノミやイチャルパを行い、伝統の作法で先祖を丁寧に供養。白老民族芸能保存会と静内民族文化保存会が古式舞踊などを披露した。
遺骨をめぐっては、明治から昭和にかけて国内の大学が研究資料として、各地の墓地を掘り起こすなどして収集。12大学に1500体以上(個人が特定できない遺骨を含む)あることが分かり、1体の遺骨を分離して保管するなどアイヌ民族の尊厳を著しく傷つける扱いも問題になっていた。
これを受けて国はアイヌ文化発信拠点ウポポイの整備に合わせて昨年、ポロト湖の丘陵部に納骨の慰霊施設を建設。同年11月から12月にかけ、各大学から移送された遺骨を受け入れた。

















