白老町のアイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)を管理するアイヌ民族文化財団(本部札幌)が今月に入り、新型コロナウイルス対策で見送っていた一部体験プログラムやイベントなどの実施に動き始めた。国や関係機関の規制緩和策を踏まえたもので、17日には募集形式のイベントとしては初となる「公園文化の集い」を公園財団(本部東京)との共催で開いた。アイヌ民族文化財団は「コロナ対策で不便を掛けてきた中、できる限りの改善を図り、来場者の期待に応えられるようにしたい」としている。
同財団は7月12日のオープン以降、施設の入場制限措置を取り、体験プログラムやイベントの実施も控えてきた。しかし、イベントや博物館などの収容人数規制を見直す国などの動向を踏まえ、今月に入り、従来の措置の緩和を始めた。
その一環として今月の土日にムックリ(口琴)の演奏と製作の週末臨時特別体験プログラムを企画。また、募集形式のイベント開催にも乗り出し、17日には公園財団主催、アイヌ民族文化財団共催の形で「公園文化の集い」を催した。
集いには、道内外から応募した約50人が参加。アイヌ民族文化財団職員の案内で、ウポポイ内の公園緑地にあるハルニレやエゾヤマザクラ、アオダモといった樹木を観察し、アイヌの生活と植物の関わりについて理解を深めた。東京から訪れた会社員古橋美紀子さん(34)は「イベントの参加でアイヌ文化への興味がより湧きました」と話した。
同財団は25日にも募集形式のイベントを企画。アイヌが食料に利用したアハ(ヤブマメ)の植生を学び、実際に採取を体験する特別体験プログラムで、今後も状況を見ながらイベントを催す考えだ。
今月に入り、施設の収容人数制限も緩和した。国立アイヌ民族博物館の1時間当たり入館者数を110人から200人に、古式舞踊を上演する体験交流ホールの収容人数を132人から272人にそれぞれ拡大した。同財団は「鑑賞だけでなく、体験プログラムを求める声も寄せられている。コロナ感染予防策に万全を期しながらも、少しずつ本来の形になるようにしたい」としている。

















