新型コロナウイルス禍でホッキ貝の取引価格が低迷する中、苫小牧漁業協同組合(伊藤信孝組合長)は新たな対策に取り組んでいる。国がコロナ対策で始めた資源・漁場保全緊急支援事業を活用。9月下旬から休漁日を設けて価格回復を促しつつ、移植放流に汗を流す。関係者は「水揚げ日本一のホッキ漁を守りたい」と力を込める。
同事業は、コロナ禍で魚価低迷に苦しむ漁業者のために創設された。休漁中に漁場の保全などに取り組むと、内容に応じて交付金が支払われる仕組みだ。同漁協は9~11月に10日間、夏ホッキ漁の漁船18隻が休漁し、苫小牧沿岸の西部海域で移植放流。ホッキが過密化している漁場で水揚げし、船上で選別した上、ホッキの少ない漁場に放流している。
これまでも資源管理型漁業の一環で移植放流に取り組んでいるが、老齢貝を間引きして漁獲に計上してきた。今回は休漁により出荷量を抑えることで、需要と供給のバランスを取り戻し、価格を回復させる対策も兼ねるため、安価な老齢貝の出荷は行わない。
言わば漁業者の収入を国の支援事業で賄い、水揚げ日本一を誇るホッキの資源増を目指す、1石が2鳥にも3鳥にもなる取り組みだ。
コロナ禍で全国各地の飲食店が打撃を受け、特に高級食材は需要が減る中、ホッキの価格にも影響が出ていた。2月から価格の低迷は著しく、国の緊急事態宣言が出た4月には、1キロ当たり卸値(税抜き)は246円。前年同期比44円減で直近5年間の月別単価で最低を記録した。3、4両月に同漁協は出荷調整で休漁日を設け、一時的に価格は回復したが、抜本的な対策には至らなかった。
産卵期で休漁する5、6両月を挟み、7月に夏ホッキ漁が始まったが、卸値は直近5年間で最低だった2019年度をさらに下回る厳しい状況が続いていた。1キロ当たりの卸値は7月が前年同期比62円減の432円、8月が同244円減の352円、9月が同3円減の404円。9月は回復の兆しが見られたが、おおむねコロナの感染拡大と連動して低迷している。
同漁協は9月下旬から21日までに、休漁と移植放流をすでに6日間実施しており、ホッキ卸値も540円程度まで回復。同漁協は「コロナで関東、関西圏のホッキ需要が落ち込み、漁業者にとって厳しい状況が続いていた」と説明する。
今季のホッキ年間漁獲枠(ノルマ)は約750トンに設定しているが、「今季はノルマ消費も早かったので、今が需給バランスを例年通りに戻す機会。将来の資源維持にもつながる」と強調している。
















