ウトナイ湖野生鳥獣保護センター こころの授業12年目、受講者1万人超に

ウトナイ湖野生鳥獣保護センター こころの授業12年目、受講者1万人超に
傷ついたフクロウを見せながら自然や命の大切さを語る山田さん(左)=9日、苫豊川小学校

 苫小牧市植苗のウトナイ湖野生鳥獣保護センターが取り組んでいる「こころの授業」が今年で12年目を迎えた。市内の小学生を対象に命や環境の大切さを伝えようと始まった活動は1万人以上が参加。環境分野に興味が湧いたり、けがをした野生動物の姿に命の大切さを学んだりした子どもたちが同センターを訪れることもあるといい、自然から多くのことを学ぶきっかけづくりの場になっている。

 今月9日。苫小牧豊川小学校の教室で、同センターの山田智子獣医師(41)が笑顔で語り掛けていた。ウトナイ湖では273種類の野鳥が確認され、センターではけがをした野生鳥獣の診察や治療に対応しているなど自然を保護することの大切さを説明した。

 授業には傷ついた野鳥を連れて行き、生きた教材にする。この日も「本物の野鳥を見てみますか?」と1羽のフクロウが紹介された。かわいらしい姿に歓声が上がるが、2010年にけがをして運ばれてからずっとセンターにいて、二度と自然には戻れないことを知ると、子どもたちは真剣な表情に変わり、教室内が静かになった。

 授業では人の暮らしと野鳥の関わりにも触れる。電線と接触して頭部に傷を負ったり、建物などの窓ガラスに衝突して命を落としたり。山田さんは「何気ない私たちの暮らしの中で鳥がけがをしている」と説明し、窓ガラスにシールを貼ったり、落ちているごみを拾ったりするだけで、こうした事故を防げると語った。

 この活動は09年度から始まり、最初の年は21回約900人だったが、15年以降は年間で40回前後、児童数も毎年1200~1400人に拡大。19年度には1万人の大台を超え、多くの子どもたちに自然や命の大切さを伝える取り組みとして定着している。子どもたちには印象が強いようで、授業を受けた児童が野生鳥獣保護センターに直接やってきたり、大学生になってから訪ねにきたりすることもあるという。

 山田さんは「私たちが住む同じ空間にはたくさんの生き物がいる。市内すべての小学校の全クラスでそのことを伝える授業をしたい」と思いを語っている。

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