国民主権を訴え続けた伊藤千代子の生涯描く映画制作へ、苫実行委が寄付呼び掛け

募金を呼び掛ける入谷実行委員長

 治安維持法違反で逮捕されながらも国民主権や男女平等を訴え続けた伊藤千代子(1905~29)。24年の生涯を描く映画の制作を支援するため、有志でつくる苫小牧地方実行委員会が募金活動を展開中だ。千代子が獄中で書いた手紙が苫小牧市立中央図書館に残されているのが縁で、同市の実行委が発足。入谷寿一実行委員長は「人権を無視する社会に二度と戻ることがないように今、千代子の生き方から学ぶべきものがある」と話し、寄付への協力を呼び掛けている。

 伊藤千代子は長野県諏訪市生まれ。東京女子大在学中の1927年、詩人で労働農民党員の浅野晃(1901~90)と結婚。翌28年2月に日本共産党に入党したが、同年3月15日、治安維持法違反の容疑で逮捕され、東京都内の刑務所に収監された。厳しい拷問を受けながらも転向を拒み、獄中でも仲間を励まし続けたが、精神病を発病。入院先で急性肺炎のため死去した。享年24歳。

 夫の浅野は戦後、国策パルプ(現日本製紙)の勇払工場にいた知人の招きで45年から5年間、苫小牧で過ごした。この時の縁もあり浅野は、千代子が獄中から浅野の母や妹に出した最後の手紙4通を70年代後半、当時の中央図書館長に託した。「私も負けないで頑張る」と、最後まで強い意志を持ち続けた精神状態をうかがい知ることができる資料で、同館は2005年、初めて公開した。

 命を賭して平和と男女平等を訴えた千代子の生きざまを後世に伝えようと、埼玉県の独立プロ「ゴーゴービジュアル企画」が映画制作を企画。関係者によると、約7000万円の費用が見込まれるといい、支援に向けて全国各地で実行委組織が発足。苫小牧でも6月、約20人の市民らによる実行委が立ち上がり、60万円を目標に募金を集めている。

 今月24日には同プロの桂壮三郎さんをはじめ、原案となる「時代の証言者伊藤千代子」(学習の友社)の著者、藤田廣登さんら制作陣が来苫。中央図書館を訪れ、千代子の手紙を取材するなどした。本作で総監督を務める桂さんは「自分の信念を曲げず、時代を生き抜いた千代子の姿を伝えることで、若い人が歴史を知り、今日を生きる糧になることを願っている」と話した。クランクインは来秋を予定している。

 苫小牧実行委の問い合わせは事務局の竹田さん 携帯電話080(5728)5175。

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