白老町は、大規模自然災害に備えた「強靱(きょうじん)化計画」案を取りまとめた。地震や火山噴火、津波など想定される自然災害から住民の命や社会基盤を守り、速やかな復旧、復興につなげる防災、減災の施策を示した内容。期間は2020年度から23年度までの4年間とし、年内に成案化を目指している。
強靱化計画は、自治体が災害発生を想定した事前防災・減災の施策を総合的に推進するために策定する。国土強靱化基本法(13年12月施行)に基づいて計画を作った自治体は、災害対策のインフラ整備など関連事業で国の交付金や補助金を活用できる。白老町は5月、計画の策定や推進に関わる計画推進本部(本部長・戸田安彦町長)を設置。災害リスクや対策の課題を洗い出し、施策の方向性を盛り込んだ計画案をまとめた。
事業を戦略的に展開していくため、計画には地域特性を踏まえたリスクシナリオ(最悪の事態)を設定。地震や火山噴火、土砂災害、津波、暴風雪による死傷者の発生、食料や飲料水、エネルギーなどの供給停止、保健医療の機能まひ、救助・救急活動の停滞など20項目を想定した。これに基づき、(1)人命保護(2)救助・救急活動の迅速化(3)行政機能の確保(4)ライフラインの確保(5)経済活動の機能維持(6)2次災害の抑制(7)迅速な復旧・復興―の7分野を柱とした施策プログラムと目標値を示した。
例えば人命保護の分野で、地震による建物の倒壊・火災に伴う死傷者発生のリスクに対しては、▽住宅・建築物の耐震化▽公共施設の老朽化対策▽緊急輸送道路の整備▽地盤情報の共有―といった施策を設定。小中学校の耐震化率を現行94・7%から計画最終年の23年度までに100%へ引き上げる目標値も盛った。
津波による死傷者発生リスクに対しては、▽避難体制の整備▽海岸保全施設の整備―を掲げ、現行の津波ハザードマップ(被害予測図)を見直し、避難計画を策定するとした。救助・救急活動の迅速化の分野では、▽民間企業や団体、行政機関との連携体制の整備▽非常用物資の備蓄促進―といった施策を示し、民間企業・団体などとの防災協定件数を現行67件から75件へ増やす目標も掲げた。
計画期間は、町の第6次総合計画・基本計画(20~27年度)の見直し時期に合わせて今年度から23年度までとするが、24年度から引き続き4年間の次期計画を運用する。
町は計画案に町民意見を反映させるパブリックコメント(意見公募)を2日から始め、12月1日まで実施。今月11日には町議会の全員協議会で案を説明する。
白老は海岸沿いに広がる平たんな地形から津波や高潮をはじめ、樽前山や倶多楽火山の噴火リスクを抱えているほか、これまでに大雨による甚大な災害も発生している。地球温暖化に伴う気候変動を背景に近年、大型台風や豪雨など異常気象も頻発する中、町は「あらゆるリスクを見据え、災害に備える取り組みを推進したい」としている。

















