敷島ファーム 白老で野菜生産本格開始 農畜連携で循環型体制構築へ

12月以降の出荷を目指し、ビニールハウスでホウレンソウを生産

 国内最大規模の黒毛和牛畜産企業「敷島ファーム」(本社栃木県那須町、高田正樹社長)が、牧場を構える白老町で野菜生産を本格的に展開する。同町石山に整備した大型ビニールハウス群で今年春からピーマンなどを作り、道内外に出荷している。冬場も葉物野菜を育てて通年栽培に挑み、「白老の農業振興に貢献したい」としている。

 同社が野菜の生産拠点としているのは、石山222に所有する約7ヘクタールの農園。今春、長さ90メートル、幅7・5メートルのビニールハウス20棟を建設し、ピーマンのほか、イタリアンパセリやバジルなどハーブ類の生産も開始した。主力のピーマンは、専門業者を通じて道内や首都圏のスーパーなどに出荷。間もなく収穫を終え、今年度の総生産量は40トン程度を見込んでいる。ハーブ類も白老町など各地の飲食店に供給し、イタリア料理などに使われている。

 ピーマンの収穫を終えたビニールハウスでは、ホウレンソウの栽培に着手。12月中旬以降に初出荷し、来年4月まで生産。約20トンの収穫量を予定している。

 同社は那須町と白老町などに直営牧場を構え、1万頭以上の黒毛和牛を飼養。このうち、進出から10年目を迎えた白老町では竹浦や森野、石山の牧場で6500頭を育てており、白老を畜産事業の拠点に位置付けている。こうした中で新たな事業として参入した野菜生産は、畜産と農業をつなげる農畜連携の取り組みという。牧場で出る牛のふんを堆肥化し、農産物の肥料に活用。逆に農園で出る作物の残さを牛の餌に生かすなど、循環型の生産体制を築いていく考えだ。

 同社は今後、竹浦など町内各所に所有する土地を堆肥で土壌改良しながら、野菜生産の畑を拡大。販路を広げ、作物の種類や生産量を増やす。

 白老町の1次産業は畜産や養鶏を主力とし、気候風土の関係から畑作に適しない土地柄とされてきたが、同社農産部の斉藤智也部長は「ハウスの温度調整や水の管理などに関するデータを蓄積し、白老で野菜生産に本格的にチャレンジしていきたい」と言う。

 町内では、ファーム・アオノが2016年に社台地区に大型ビニールハウスを建設してミニトマトやスイートコーンなどの生産に取り組んでいる。森野の和牛生産牧場・徳寿ファームもイチゴやハスカップなどの栽培を計画するなど、白老の農業の形が変わりつつある。町によると、町内の野菜作付面積は約16ヘクタールで、今後さらに拡大するとみる。

 敷島ファームは基軸の畜産のほか、那須町でリゾートホテルや黒毛和牛創作料理レストランなどを経営。東京でも和牛の焼き肉店を営み、白老牛メニューを提供している。

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