苫小牧市の清掃業、とませい(渡辺健治社長)が被災地復旧に役立てようと、土砂の吸入、排出の新技術研究に取り組んでいる。同社が持つ特殊コンクリートポンプの特許技術を生かし、重機に脱着できる汎用(はんよう)化ユニットを開発。10月の北見工業大との実証試験で土砂搬出の省力化、時間短縮効果を確認済みで、誰でも使える技術として深化、普及を目指す。
環境に配慮した汚泥の収集、運搬、処理に取り組む同社は道路などインフラの維持、管理の一環で新技術の研究開発にも力を入れている。
今回の技術開発のきっかけは2018年9月の胆振東部地震。厚真町の土砂災害現場で厳しい作業環境を目の当たりにし、ポンプ技術を災害対策に役立てたいと考えた。
コンクリートポンプは通常、水鉄砲のように押し出す圧送に用いるが特許技術は吸引する機能も持たせ、吸入と圧送を同時に行えるのが特徴。液体や固体、気体などのさまざまな技術に生かせる。07年にコンクリート工事業の苫小牧圧送が取得し、従業員の転籍に伴って特許もとませいに移った。
昨春から、この技術を脱着可能なユニット式として開発し直し、幅広いコンクリートポンプ車に使えるよう研究を重ねている。同社によると、これまで使用してきたポンプは約4500万円と高額だったが、ユニット化により導入費用は10分の1以下、数百万円程度に抑えられるという。
従来、豪雨や土砂災害などの現場では人力で土砂をかき集めて重機で搬出する方法が一般的で、マンパワーも時間も要していた。ユニットを導入すれば最小限の人数でポンプの先端を持って現場に入り、ポンプで土砂を別の場所に搬出できる。導入の費用的ハードルを下げ、より多くの現場に投入することも可能だ。
今後も北見工大と共同研究を続け、軽量化などを模索する。共同研究開始に先立ち、10月27~30日に同大でポンプ技術の実証実験を実施。泥10キロの搬出時間は水分の含有量によるが68~460秒だった。人力で泥をかき集める作業もなく、掃除機のようにホースで吸って搬出できたという。
同社開発事業部の研究担当、太田隆紀さん(55)は「既存の技術を誰もが使えるようにするため発想を転換した。やってみると意外なほどうまくいっている」と説明。「住宅の中から土砂を取り除くような重労働も、楽に早くできるようになる」と語る。
吸引用ユニットについても特許を出願中で、「自然災害のほとんどで適用できる」と意義を強調。同大などと連携協定を結ぶ方針で、「迅速な災害復旧に貢献できるよう、多くの自治体に普及させたい。まずは地元自治体と包括連携協定を結びたい」と話している。
















