コンクリートメーカーの会沢高圧コンクリート(苫小牧市、会沢祥弘社長)は、高耐久のプレストレスト・コンクリート(PC)構造の建築に本格参入する。地震などの自然災害が頻発する中、ニーズは高まっていくとみられるが構造設計の複雑さもあり、まだ十分に普及していない技術だ。まずは深川市の深川工場敷地内で建設中の新工場にPC構造を採用。将来的にはコンクリート3Dプリンタ技術と組み合わせた新たな建築スタイルも模索する。
同社は鉄筋コンクリート(RC)に比べ揺れに強く、耐久性の高いPCに着目。PC建築への本格参入へ、2016年に東京の構造設計事務所と技術提携を結んだ。従業員を派遣し、構造設計や施工管理技術などを学んできた。
18年9月の胆振東部地震でむかわ町の鵡川工場が被災。深川市の新工場も市内に活断層があることから、地震や災害に強いPC部材を全面的に採用することにした。平屋建て、延べ床面積1290平方メートルで総工費は約4億円。今年3月に着工し、21年1月の稼働を目指す。年間製造能力は約3万トンを見込む。
PCは構造設計が複雑で対応できる事務所や技術者が少なく、幅広く活用されていないのが実情。道北で進む風力発電整備事業などでコンクリート需要が高まる中、新工場をPCや、現場で組み立てるためにあらかじめ造る「プレキャスト製品」の供給拠点にしたい考えだ。
なお、新工場の壁面の一部には、同社が18年に導入したロボットアーム式のコンクリート3Dプリンターで制作したレリーフ16枚を設置する。特殊なモルタルをプリンターのノズルから噴出。型枠を一切使わず、設計自由度の高い構造物を短時間で製造できる機材で、国内の大型建築物に3Dプリンター技術を用いるのは珍しい。
同社は今後、国内外でPC製品の出荷や3Dプリンターを駆使した施工管理技術の確立を展望。担当者は「PCは他のコンクリートに比べ、環境性に優れている。SDGs(持続可能な開発目標)にも沿い、引き合いも強い」としている。
プレストレスト・コンクリート(PC)
鋼材やケーブルを引っ張った状態でコンクリート部材に埋め込み、圧縮する力によって強度を高めたコンクリート。引っ張る力に弱い鉄筋コンクリート(RC)に比べ、ひび割れが発生しにくく、耐震性も高い。橋梁(きょうりょう)やトンネルなど大型建築物に採用されている。
















