認知症になっても安心して暮らし続けられる地域づくりについて学ぶ市民フォーラムが21日、苫小牧市民活動センターで開かれた。若年認知症の当事者で、道の「ほっかいどう希望大使」の2人が、自分らしい生活を維持するための工夫や病気との向き合い方を発表。専門医が講演で認知症の最新治療や予防策について伝えた。
道とNPO法人北海道若年認知症の人と家族の会の主催。市が共催。道若年性認知症総合支援事業の一環で、テーマは「老いても若くても認知症と共に生きる」。市民ら約110人が来場した。
希望大使は赤平市在住の松本健太郎さん(50)と江別市在住の横山弥生さん(54)。松本さんは、同じ仕事に費やす時間が大幅に増えるなど仕事をうまく進められなくなり、2年前に職場の勧めで受診すると若年性アルツハイマー型認知症と診断されたことを語った。当時の心境を「仕事ができなくなった理由が分かり、納得した」と振り返った。横山さんも「認知症と診断され、それまでのことが全部納得できた」と語った。その後、歌手としてライブ活動を始めたことにも触れ「まさか自分が―とショックを受けたが、診断後に新たなスタートを切った」と力強く述べた。
札幌医科大学教授で同大付属病院の医師でもある日本認知症学会専門医の齊藤正樹さんは、患者との出来事を交えながら認知症で表れる症状や生活での困り事などを説明。複数の病変を持ち、診断名の確定しにくい人が多いが、「病名にこだわり過ぎず、症状に対するケアが大切」と強調。社会参加せず、生活動作も少なくなる不活発の状態が認知症のリスクになるため、「人の輪の中に入り会話をすることが重要」と述べた。
















