新型コロナウイルスの流行で雇用が悪化し、失業者が増えている。働くハードルが高くなっているこんな時、若い世代はどんな仕事を志望するのだろう。

　職業選択に役立つ情報を青少年に紹介するインターネットサイト「１３歳のハローワーク」では毎月、中高校生の人気職業ランキングを発表している。これによると、１０月の１位は薬剤師。露出度の低い職業がプロスポーツ選手やユーチューバーより脚光を浴びていた。５位は医師、６位は看護師で、医療系の職業が三つトップ１０入り。感染症の拡大で急がれる治療薬やワクチンの開発、緊迫する医療体制などが、薬や治療に対する関心を高めているよう。

　今の状況を考えれば、医療系の職業は避けられても不思議はない。感染症患者にじかに対応するとなれば、感染リスクが高まり、大きなストレスを抱える。しかも、公園にいた子連れの看護師が「出て行け」と言われるなど、本人も家族も差別やいじめに遭う恐れがあるからだ。

　それでも中高校生が注目したのは、自分たちが社会に出る頃には感染症が落ち着き、心配はないと見込んだからかもしれない。ただ、そうであってもいざとなれば「命懸けの職業」になるのは明らか。命を貴ぶ気持ちがないと目を向けられる職業でなく、思いやりのある若者が多数いることに明るい未来を感じた。医療従事者には若者に尊敬のまなざしを向けられる自分にぜひ誇りを持ってほしい。（林）