中国で「白老牛」商標登録申請  白老町が異議申し立て

白老町のブランド牛として知られる「白老牛」

 中国の事業者が同国の当局に、白老町のブランド牛「白老牛」の名称とマークの商標登録を申請したことが分かった。町は、中国への白老牛肉輸出など市場拡大の活動に支障が出かねないとして今年、申請を認めないよう当局に対し異議申し立てをした。白老牛の生産者は、地元が誇るブランド牛の名を奪う行為に憤慨している。

 町によると、申請したのは、中国広東省中山市にある中山市飛湊電子科学技術公司。「白老牛」の名称文字と2種類のマークの商標について、特許権を管理する行政機関・国家知識産権局へ昨年6月に申請した。マークは、白老牛の生産者や加工販売業者などでつくる白老牛銘柄推進協議会が活用する商標登録シールの図柄に酷似している。

 同局は公告を経て、問題がなければ今年2月に出願申請を認める予定だったが、その直前に白老町が情報を把握。1月末、同局に対し異議申し立てをした。

 これを受けて同局は、申し立ての受理について8月に町へ連絡。現在、同公司から出願された申請の取り扱いを審査しているが、町は「結論が出るのは早くて来年2月か3月。もっと遅くなる可能性もある」と言う。仮に同局が町の異議申し立てを認めた場合、町は中国に対して即刻、商標登録を申請し、中国での事業者の出願を将来にわたり阻止する構え。申請を取り消された同公司が逆に同局へ異議申し立てを行った場合、町は「裁判になるだろう」と話す。

 中国の事業者による商標申請について町は「認証されれば、日本から白老牛ブランドの牛肉が中国へ輸出できなくなる恐れがある。市場拡大の活動に影響が出かねない」と懸念。いったん登録されると、権利の取り消しは困難になるため、「白老牛ブランドを守るためにも、申請は決して認められない」としている。

 同協議会の岩崎孝真会長は、今回の事態に「黙って見過ごすわけにはいかない」と憤る。特許庁に認証された白老牛の商標登録に関しては現在、牛肉商品などに貼付するシールの図柄のみ。このため、「白老牛ブランドを保護する上で今後、名称の商標登録が欠かせない。地域団体商標として特許庁に申請できる組織をどうするかなど議論を進めたい」と言う。

 中国の事業者が同国内で、「松阪牛」(三重県)など日本のブランド牛の名を勝手に商標登録する事例は少なくない。香川県は今年8月、「讃岐牛」の商標申請を取り消すよう中国側に異議申し立てをした。

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