競りもコロナ対策 IT活用 密解消へ試行錯誤 マルトマ苫小牧卸売

競りもコロナ対策 IT活用
密解消へ試行錯誤 マルトマ苫小牧卸売
コロナ対策に気を配りながら魚介類の競りに臨む関係者=マルトマ苫小牧卸売

 苫小牧市汐見町の水産卸売業、マルトマ苫小牧卸売(西田浩一社長)は新型コロナウイルス対策で、競りの「密」を解消しようと試行錯誤している。マスク着用や消毒といった基本的な対策は徹底できても、関係者が集まって威勢の良い掛け声を響かせる従来のスタイルからはなかなか抜け出せないのが実情。IT(情報技術)を活用した新システム「漁船なう」「市場なう」などの構築を通し、競りの在り方を見詰め直している。

 買い手に競争してもらい、最も高値を付けた人に販売する競り。市公設地方卸売市場の水産市場(汐見町)では種類ごとに魚を並べ、競り人や買い手ら10~20人が一団で移動しながら競りを行う。競り人が威勢よく価格の掛け声を挙げ、買い手が手や声で合図を出して落札する。

 同卸売の競りは、掛け声を最高値から始め、価格を徐々に下げる仕組み。価格を青天井にせず適正に流通させるためだが、関係者は「それでも少しでも高く売るため勢いが大事」と語る。競り人も「(1キロ当たり2900円の)ニーキュー、(同2800円の)ニーハチ」などと矢継ぎ早に大声を出し、買い手も希望価格で即応する。

 新型コロナの感染拡大が続く中、競りでも基本的な予防策を強化。冬場は虫が飛来する懸念もないため、市場内の換気状況は「もはや外」(関係者)という徹底ぶりだ。競り人はマスクでは声がこもるため、フェースガード着用など対策と競りの熱気を両立させながら実施してきた。同社は「コロナ禍で関係者の意識が変わった。『食』を届ける市場からコロナを広げるわけにはいかない」と強調する。

 それでも競りの性質上、関係者は「密」になりがち。マスク姿でも大声を出し合う姿は変わらず、「変えられるところから変えていかないと」と危機感を募らせる。

 同社は今年度、国の補助事業でIT技術を活用した情報発信の強化「漁船なう」、市場の働き方改革「市場なう」のシステム構築を進めており、これらをコロナ対策にも活用。他の市場にはないような競りを実現させたい考えだ。

 例えば、競りの価格や数量などの入札情報は従来、その場で手書きしており、多くの時間や労力を割いてきた。「市場なう」でIT化されればタブレット端末への入力で済む。

 「漁船なう」はインターネット交流サイト(SNS)で、競り前の情報発信などを計画しているが、競りの生中継や市場内のモニター新設も検討中。競りの「リモート参加」を促し、「密」の回避につなげる狙いがある。同社は「少しでも皆が安心できる競りにしていきたい」と話す。

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