冬の夕日は一瞬のうちに沈むせいか、どこか哀愁が漂う。先日、札幌で見た冬の落陽は美しかった。今年も残すところ3週間。少年時代に比べ時間が過ぎる速度がとても速く感じられる。師走が行く。
一昨日はビートルズのメンバー、ジョン・レノンの命日だった。彼が米ニューヨークで狂信的ファンの凶弾に倒れたのが、1980年12月8日。まだ40歳の若さだった。当時、アジアの片隅の一ファンとして、とても悲しく、やりきれなかったことを思い出す。あれから、ちょうど40年の歳月が流れた。
ジョンが書いた最大の代表曲に「イマジン」がある。詞は妻のオノ・ヨーコさんの本「グレープフルーツ」に影響されたとされる。実際は2人の共作に近いのかもしれない。こんな詞だ。〈国境なんてないんだと その気になれば簡単なことさ 殺したり死んだりする理由もなく…〉、〈所有するものなんか何もないと 果たしてきみにできるかな 欲張りや飢えの必要もなく…〉―。ジョンは、この曲で国境などの壁を越え、平和や人類愛を希求することを〈想像してごらん〉とメッセージを送った。そんなシンプルな気持ちが結集すれば、世界は変えられるかもしれないと歌った。
この曲が誕生したのは71年。今なお、世界で歌い継がれている。国際的にもコロナ禍に揺れ、政治の分断、内戦も続いた今年。そんな時代だからこそ、ジョンの魂の言葉が、心により響いてくるのかもしれない。 (広)









