苦手

苦手

 パーソナルコンピューター、通称パソコンの機能のごく一部を利用して文章を書いている。好奇心が弱いのか他の機能に手が伸びない。

 電気機器の説明書を読んで、理解する根気と能力を失うのが老化の始まりだという。ワードプロセッサー(日本語文書作成機)を使い始めたのは1980年代の前半だから遅くはなかった。漢字や熟語をたくさん覚えており、文字は悪筆の自分とは比べようもない達筆だった。

 文書作成以外にインターネットとの接続やメールの送受信、画像の処理など、いろいろな作業をこなせるのがパソコン。無意識に無用のキーに触り機械を固めたことが何度かある。若い後輩に「何をしたの?」と詰問され「何もしてない。覚えていない」という誠実な説明はまったく聞き入れられなかった。

 パソコンと携帯電話の合体したのがスマートフォン。1000キロも離れている孫が、話し、動く画像を見れば、その便利さは十分理解できる。先日の報道ではスマホで買い物代金の決済を経験した人が増えているそうだ。しかし苦手は苦手。いまだに自分は旧型携帯のままだ。

 新型コロナウイルス対策の各種給付や行政サービスの遅滞の経験も踏まえて、政府はデジタル庁設置の準備を大急ぎで進めている。パソコンやスマホを持たない人や、使えない人のことも決して忘れないでほしい。官庁の議事録や公文書の隠匿や消去を完璧に行う、技術指導拠点にもなりませんように。(水)

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