サケ150匹 寒ざらし  白老 アイヌ伝統の保存食 ウポポイで初サッチェプ

サケ150匹 寒ざらし  白老
アイヌ伝統の保存食 ウポポイで初サッチェプ
干し棚に並んだサッチェプ用のサケ

 白老町のアイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)で14日、アイヌ民族の保存食「サッチェプ」(干しサケ)作りが始まった。来年2月にかけて寒風にさらした後、いろりの煙にいぶして仕上げる。ウポポイの若手職員らが伝統の営みを受け継ごうと、先輩の指導で初めてのサケ干し作業に挑んだ。

 肉や魚、山菜などさまざまな食材を保存処理したアイヌ民族。ウポポイでのサッチェプ作りは、伝統の食文化を若手職員に伝承する取り組みで、アイヌ民族文化財団文化振興部の10人が作業に加わった。

 職員らは、白老産の塩漬けサケ150匹を丁寧に水洗いし、マツの丸太で組んだ高さ3メートル幅6メートルの干し棚にサケをひもでつるした。よく乾燥させるため、裂いた腹の中をヨモギの枝で広げて寒風にさらした。

 来年2月中旬ごろまで厳寒の屋外でつるした後、かやぶきのチセの中に移し、いろりの煙でさらに2カ月ほどいぶしてうま味を引き出す。手間をかけて完成させたサッチェプは、ウポポイの食文化体験プログラムで活用する考えだ。

 指導に当たった文化振興部体験教育課長の野本三治さん(58)は「魚を洗ったこともない若手が伝統を受け継ぎ、次代に引き継いでくれれば」と、干し棚にずらりと並んだ銀色のサケに目を細めた。初めてのサッチエェプ作りに臨んだ食文化体験プログラム調理グループリーダーの新谷モレウコンレクさん(29)は「作業に時間がかかったけれど、無事に仕込みができた。文化を途切れないようにしたい」と話した。

 ウポポイ整備のため、2018年3月に閉館した旧アイヌ民族博物館では、毎年サッチェプを作って販売し、伝統文化の保存と伝承に生かしていた。ポロト湖畔の冬の風物詩となっていたサケ干し作業は4年ぶりとなる。

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