しらおい振興センターが商品開発 今治タオルアイヌに文様と動物刺しゅう

今治タオルとアイヌ文化のコラボ商品をPRするイラスト担当の田村尚華さん

 白老町の一般社団法人しらおい振興センターは、国内の伝統工芸品とアイヌ文化を組み合わせた観光土産品の開発に乗り出した。第1弾として愛媛県今治市の「今治タオル」のハンカチに、アイヌ文様と森の動物のイラストを刺しゅうした商品を企画し、販売を始めた。同センターは、異なる伝統文化のコラボレーション製品をさらに開発し、「Kitakarano(北からの)」のブランド名で展開したい考えだ。

 同センターは、町広報の製作や公共施設の管理などを担う団体。3月末で解散した白老振興公社の業務を引き継ぐ形で4月に発足した。従来の受託事業のほか、地域貢献の自主事業を模索した結果、白老の観光振興につなげる土産品の開発を行うことにした。

 商品企画のコンセプトは、国内の伝統工芸品と白老に根付くアイヌ文化のコラボレーション。異なる伝統文化の組み合わせは、白老町が掲げる「多文化共生のまちづくり」を意識した。第1弾として今治タオルのハンカチに、ポロトの森にすむ動物とアイヌ文様のイラストを刺しゅうした「ポロトの森の仲間たち」(税別1000円)を開発。駅北観光商業ゾーン(ポロトミンタラ)の観光インフォメーションセンターと民族共生象徴空間(ウポポイ)内の売店、大町のカフェ結の3カ所で販売を開始した。今後、商品ブランド「Kitakarano」のホームページも立ち上げて、ネット販売も考えているという。

 肌触りや吸水性に優れた高品質ブランド「今治タオル」を生み出した今治市は、120年以上の歴史を持つタオル生産を伝統産業としている。しらおい振興センターは商品企画の段階で、新型コロナウイルス感染予防の手洗いを思い浮かべ、伝統工芸の位置付けにある今治タオルのハンカチに注目した。

 刺しゅうのイラストは、大町商店街でカフェを営む田村尚華さん(46)が担当。グラフィックデザイナーの経験を生かし、制作を買って出た。白老アイヌ協会が監修し、アイヌ文様を取り入れて創作したイラストはヒグマ、エゾシカ、キツネの3種類。今治市のタオルメーカーに依頼し、25センチ四方でオフホワイト色のハンカチを作った。商品は厳しい基準の今治タオルブランドの認定品となり、同センターはさらにシマフクロウ、エゾリス、アイヌ民族の伝説の小人コロポックルのイラスト3種をシリーズに加える予定だ。

 白老町がウポポイを生かした観光のまちづくりを進める中、同センターの岡村幸男事務局長は「土産品開発が観光振興の一助になれば」と期待。木や布、和紙などさまざまな素材を活用した国内の伝統工芸品と、アイヌ文化のコラボ商品化を展開し「伝統文化を守り、共生社会を実現する大切さをアピールしていきたい」としている。

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