白老生活館を現地改築 アイヌ文化振興の拠点に 白老中央は23年度末に廃止

2023年度に建て替える白老生活館。白老アイヌ文化振興の機能を持たせる

 白老町は、老朽化が進む白老生活館(高砂町)と白老中央生活館(大町)について、2023年度に白老を建て替え、白老中央を廃止する方針を固めた。現地改築の白老生活館は、白老伝統のアイヌ文化を保存、伝承する機能を持たせ、地域文化振興の拠点に活用する。

 白老生活館(木造平屋建て面積293平方メートル)は1962年、白老中央生活館(同374平方メートル)は77年に建設。町内会やアイヌ関係団体の集会、民謡や詩吟など文化サークルの活動に利用されてきたが、いずれも完成から40年以上が経過し、耐用年数(24年)を大幅に超えている。町は、老朽化が著しい2生活館の対策を検討する中で、人口動向や施設の利用状況、地元アイヌ文化の振興などを考慮して白老を現地改築し、白老中央を廃止する方針を固めた。町内の生活館は8施設あるが、これを7施設へ減らして公共施設の維持管理コスト縮減につなげる。

 スケジュールは、21年度に新しい白老生活館の基本設計、22年度に実施設計を作り、同年に現施設を解体する。国のアイヌ政策推進交付金を活用し23年度に建設し、完成させる。一方、白老中央生活館は23年度末で廃止し、24年度に解体する方向で検討している。

 町内で最も古い生活館の白老生活館は、かつてアイヌ民族の子どもが通った小学校や、”コタンのシュバイツアー”と呼ばれた故高橋房次医師の病院の跡地付近にある。白老のアイヌ民族と深い関わりがある土地に立つ施設として、アイヌ手工芸や古式舞踊など伝統文化の活動場所として盛んに利用されている。

 このため、町は白老生活館をアイヌ文化振興の場に位置付け、伝統儀式カムイノミが執り行えるいろり付きの部屋、伝統工芸展示スペース、白老アイヌ協会の事務所などを備えた施設を想定。民族共生象徴空間(ウポポイ)整備のため、ポロト湖畔の旧アイヌ民族博物館が18年3月で閉館し、白老アイヌ文化の復興・伝承活動の拠点を失ったことから、白老生活館がその役割の一端を担う施設として機能させる。町は今後、白老アイヌ協会など関係団体の意見を踏まえ、建物の具体的なレイアウトや規模を計画する。

 一方、白老中央生活館で活動してきた文化サークルなどについては、施設の廃止後、新しい白老生活館や白老中央公民館、町総合保健福祉センター(いきいき4・6)の集会室などを利用してもらう考え。町は来年1月に高砂町と大町の住民を対象に、2生活館の方向性に関する説明会を開く予定だ。

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