4 被災3町 仮設住宅から新たな住まいに 「安心して暮らせる」復興へ大きな一歩

4 被災3町 仮設住宅から新たな住まいに 「安心して暮らせる」復興へ大きな一歩
仮設住宅を出て新たな住まいでの生活を本格化させる3町の住民たち

 2018年9月の胆振東部地震発生から2年3カ月余りが経過した。特に被害の大きかった厚真、安平、むかわの3町では、震災直後から最優先課題とされてきた「住まいの再建」が急ピッチで進み、11月末の入居期限までにプレハブ型の応急仮設住宅からすべての住民が退去。町で整備した災害公営住宅や公営住宅などに移り住んだ人、自力で家を建て直した人それぞれが新居での生活をスタートさせた。目に見えて復旧が進み、3町にとって復興への大きな一歩となった。

 2年前の震災被害で3町合わせて最大約400世帯が自宅の損壊により、仮設住宅での生活を余儀なくされた。

 厚真町は10月末までに新町、本郷、上厚真の3地区に災害公営住宅計32戸を建てた。

 安平町は地域優良賃貸住宅を早来、追分、遠浅の3地区に各1棟2戸を建設。町職員住宅などを改修したペットと同居可能な賃貸住宅も4地区に8棟11戸を整備した。

 むかわ町では公営住宅(通称復興住宅)を2地区に30戸完成させ、10月末までに鍵の引き渡しを行った。新型コロナウイルス対策や引っ越しにかかる時間を十分に確保するため、町は仮設住宅の入居期限を当初の10月末から11月末に延長するなど特段の配慮をした。

 各町の住民からは「(仮設住宅は)狭くて落ち着かなかったが、新居は広いのでゆっくりできる」「これで安心して暮らせる」「やっと次のステップへ進める」といった安堵(あんど)の声が聞かれた。

 空き家となった仮設住宅の解体も本格化し、すでに更地となった場所も少なくない。厚真町の関係者は「町内から仮設住宅が無くなることで、徐々に震災前の日常に戻っていくことを実感できるのでは」と話す。

 厚真町、安平町追分で被災し、移転改築を行っていた特別養護老人ホームも今月ようやく完成。入居者が住み替えを済ませた。むかわ町では鵡川高校野球部の生徒寮が年末に出来上がり、年明け早々に生徒たちが新たな寮での生活をスタートさせる。

 災害復旧工事も3町と道が管轄する部分については、来年3月末までにおおむね完了する見通し。復旧はさらに加速する。一方、土砂崩れで約4300ヘクタールにわたって山腹崩壊が生じた森林の再生やまちなかの再生などそれぞれの町で課題は山積している。

 大きな揺れにさらされたり、大切な住まいを失ったりした町民の心のケア、新たなコミュニティー創出なども重要だ。特に心のケアについては新型コロナ感染拡大の影響で人との関わりが薄れつつある昨今、必要不可欠だ。目に見える爪痕は少なくなってきたが、復興への道のりは長く険しい。(石川鉄也)

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