白老アイヌ協会(山丸和幸理事長)は、白老で作られたアイヌ文様の管理と利活用を図る委員会を立ち上げた。アイヌ文様の刺しゅうサークル4団体の代表者らや手工芸家で委員会を組織し、文様作品を管理するデータベースを整備。知的財産として保護するほか、商品に文様の活用を希望する事業者への提供システムも構築する。
白老でのアイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)開設を契機に、アイヌ文様を取り入れた商品開発が活発化し、文様の利用や監修の依頼が同協会に寄せられている。同協会はこうした要望に適切に応えるほか、知的財産とも言える白老の文様作品の無許可使用、乱用を防ぐ保護・管理システムの構築に向け、文様作家らでつくる「白老アイヌ協会文様検討委員会」を設置した。
委員会は町内の文様刺しゅうサークルの「チシポの会」(石井シゲ代表)、「テケカラペ」(山崎シマ子代表)、「フッチコラチ」(岡田育子代表)、「エミナの会」(菅野節子代表)の代表者や会員の4人と、個人で活動する手工芸家3人の計7人で組織。19日に同協会役員を交えた初会合を白老生活館で開き、山崎シマ子さんが委員長、河岸麗子さんが副委員長に就いた。
委員会は今後、同協会事務局長でアイヌ文化研究者の岡田路明さん(苫小牧駒沢大客員教授)のサポートで、制作者や制作年も記録した文様作品のデータベースを構築。先祖伝来や新しく作り上げた白老のアイヌ文様を同協会が保護・管理し、消滅しないよう後世につなげるための取り組みを始める。
商品パッケージなどに文様の活用を希望する事業者へ有償でデザインを提供するシステムも整え、商品を通じたアイヌ文化の発信を下支えする。
さらにアイヌ民族の精神性を反映した文様を事業者が使用する際のルールについても検討。取り扱うアイヌ文化の作品は、刺しゅうのみならず、チタラペ(ござ)や木彫りなども加え、保護・管理の対象や委員会メンバーの幅を広げることも考えていく。
町内の文様刺しゅうサークルや個人作家が連携する取り組みは初めて。地域アイヌ協会が単独で知的財産保護の体制をつくる試みは珍しく、同協会の山丸理事長は「地元のアイヌ文化をきちんと守っていきたい」と言う。

















