鍋

 キムチ鍋、みそ鍋、豆乳鍋などのつゆのパック入りが、食品売り場の目立つ所に並んでいる。家族や仲間でにぎやかに味わうと、身も心もほかほかになるのが鍋料理。寒い季節には欠かせない。

 大抵は一つの鍋を複数の人でつついて食べるが、今冬は感染症予防策として、飲食店情報の検索サイトを運営する東京のぐるなびが「みんなでこなべ(小鍋・個鍋)」を提案している。集まった人がそれぞれ1人用の小鍋で食べる方法で、いわば「みんなで一人鍋」だ。

 一人鍋なら、つゆの味を自分好みにアレンジするのも、個包装から選ぶのも自由。個包装の味の種類は多様で、形状もパック入り、濃縮液のミニ容器入り、キューブ、粉末とさまざま。具材やつけだれも好きにできるので、これはこれで十分魅力的に思える。

 鍋料理が始まったのは江戸時代のこと。しちりんを使う家庭が増え、小鍋で具材を煮て1人、あるいは少人数で食べる「小鍋立て」が流行して広がった。これを思えば、現代の「こなべ」は原点に返るようなもので、当時好まれたアサリ鍋やねぎま鍋を食べ、江戸時代の雰囲気を楽しむのも一興だ。

 鍋奉行さまたちは采配を振るえず、いささかご機嫌斜めになるかもしれないが、みんなが安心して食べられるようにするのも大事なお役目。「こなべ」を味わうテーブルで笑顔がはじけたなら、「これにて一件落着」としてもらおう。(林)

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