マスクをめぐってけんか沙汰―。関西地方で一昨日、そんなことがあった。報道によると、きっかけは「こいつマスクをしていない」というひと言。コンビニ店内で会計待ちをしていた50代の男2人の言い争いが始まり、殴り合いにまで発展したという。言い方や態度が気に障ったのだと思うが、マスク未着用をとがめる「マスク警察」なる存在がこうしたトラブルを引き起こしているとしたら、看過できない問題だ。
最近は”不織布マスク警察”という言葉も登場している。不織布と比べてウイルスの防御能力が低いウレタンや布マスクなどの着用者がターゲットのよう。ウイルス感染を恐れての行動だったとしても、あまりに行き過ぎだ。そんな指摘を恐れてウレタンと不織布のマスクを二重に着用する人たちがいる―と朝のワイドショーも取り上げていた。その映像を見て思わず笑ってしまったが、本来振りかざすべきではない「正義」の意識が他者に圧力をかけ、批判の強い世の中を形成している現状には少し不気味さも感じる。
あるラジオパーソナリティーがこんなことを言っていた。「不織布マスクは周りが隙間だらけ。むしろウレタンマスクの方がぴたっと(顔に)着く」。マスクは装着すること自体が目的ではなく、ウイルスを飛ばすリスクを可能な限り減らすことが役目。マスクをしていない人がいたら、予備品を譲るぐらいのゆとりを持ちたい。(隆)









