最近読んだ本の中に「リバースメンタリング」という言葉があった。リバースは「逆にすること」。衣服で裏と表を逆に着ることができる「リバーシブル」の類似形だ。メンタリングは「人の育成、指導方法の一つ」。メンターと呼ばれる経験豊かな人が若年者や未熟練者を成長させるため継続的に支援することという。
この二つが結び付くリバースメンタリングは、若年者(部下)が年配者(上司)を逆に支援、指導することを意味する。パソコンやスマートフォンが生活の中に急速に浸透し、さまざまな機能が付加されて便利さを享受するようになり、リバースメンタリングする・される機会が多くなってきたように思う。
身近なところでは先日、スマホの一部音源が途切れて諦めかけていた家族の者が娘に診断してもらうと、あっという間に息を吹き返した。家族の娘に対する信頼度は高い。少し前には、社内で支局勤務のベテラン記者が「パソコンがおかしい。原稿が送れない」とSOSを出してきた。本社の担当者が駆け付けると、ワイファイの電源が入っていなかっただけという笑えない話もある。リバースメンタリングの必要性を感じさせた。
積み重ねた「経験」は一つの強みではあるが、社会の変遷スピードがこうも速いと対応も複雑。経験だけでは済まされない。東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長後任人事。経験だけではなく、信頼感や斬新な発想、柔軟性がほしい。(教)









