やけ

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 2000年から水揚げ日本一を続けている苫小牧市のホッキ貝。新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店の需要や消費が落ち込み、取引価格が暴落したことを約1年前の当欄で取り上げた。今なおその影響は変わらない中、個人的に消費の拡大に貢献しようと、スーパーでたびたび殻付きを購入しては、料理を楽しんでいる。

 ホッキ貝をさばくのは意外と簡単。貝柱の力が弱く、隙間からナイフを滑らせるように入れると、パカッと殻が空き、身を外すことができる。砂出しは面倒なので諦め、砂を多く含むウロ(内臓)を取れば一件落着。苫小牧漁業協同組合やマルトマ苫小牧卸売のホームページが参考になる。

 ホッキ需要の低迷は、地元の漁業者にとって死活問題。徹底した資源管理型漁業の成果で、漁獲量は年間800トン以上を誇るが、前浜の資源量は推定1万トン以上。多くなりすぎれば、餌を取り合ったり、重なり合って呼吸困難になったりと、成長を妨げる。漁業者は資源を守るため、取引価格が低迷し、漁船の燃料代がかさんでも、自ら設定したノルマ通り漁獲する。

 27日に苫小牧漁協が「ホッキ貝(涙の)ドライブスルー販売」を初開催する。チラシにある「消費が激減…それならパッと売っちまえ」のうたい文句が、漁業者の苦境や心境を物語る。10個税込み1500円の特価。感染対策にも配慮した苦肉の策で、起死回生が図られることを願う。(金)

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