接待

接待

 公務員による、税金を使った「官官接待」が広く報道されて何年たったろう。補助金や交付金をめぐる、一部の公務員の習性に驚いた。

 官庁には中央省庁を頂点に市町村まで続く上下関係があり、その関わりの管の中をお金が動く。上級官庁の現地視察や打ち合わせが官官接待の舞台になったそうだ。当時、取材を担当していたまちの職員氏の話を思い出す。上級官庁の人が来る日は庁舎の出入り口に近い、身障者用を含む区画にロープを張って場所を確保。資料準備や説明の練習だけでなく、食事などの準備も大切なことだった。「下級官庁」職員の、あれやこれやの気配りを経て、大小の事業が実現する仕組みのおぞましさ。

 25日の新聞に、首相の長男らから酒食の接待を受けた総務省の幹部職員11人の姓名と職名、処分内容、接待された金額が掲載された。上席の何人かは顔写真も掲載されていた。現在は内閣広報官を務めている一人も、姓名や金額が公表された。そして、きのうの新聞には、農水大臣と共に大手鶏卵業者の接待に同席した農水省幹部6人の名前や職名が詳細に報道された。

 申し訳ない。緩みがあった。本人たちの謝罪の言葉はいろいろ。読みながら考えた。国民の失望を癒やすことのできる謝罪の言葉はあるのだろうか。これがもし自分の親や子の所業だったら―。家族の嘆きの大きさを想像して、恐ろしくなった。

 権力は腐敗する。そして腐敗は周囲に感染し拡大する。(水)

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