女性蔑視発言の責任を取って森喜朗氏が東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長を辞任し、後任の橋本聖子会長は女性理事の比率を40%以上に引き上げる方針を掲げた。今週にも11人の女性理事を新たに加える案を理事会に示すという。
改めて振り返っても、森氏は自分がどうして辞めなければならないのか分かっていなかったと思う。辞任表明の際、「誰かが老害、老害と言いましたけど、年寄りが下がれというのは、あまりいい言葉ではない」「老人が悪いような言い方をされるのは極めて不愉快」と憤った。
その言葉が自らの発言にそっくり当てはまることになぜ気付かないのだろう。女性がたくさんいる理事会は時間がかかる、女性がわきまえろ、と「女性が悪いような言い方をされるのは極めて不愉快」だから、みんな怒ったのだ。老人とひとくくりにされたくないなら、女性もひとくくりにしてはいけない。要点を簡潔に説明する女もいるし、話がいつまでたっても終わらない男もいる。たくさんいる。
自分が差別されると怒るのに、差別しているときは「そういうつもりはなかった」と言う。人とはそういうものだと思って、自分も気を付けなければならない。東京五輪をどのような形で開催できるか、できないか。新しい理事会でとことん話し合ってほしい。3月。雪解けも近い。感染症も組織委員会も、厳しい冬に逆戻りしないことを願っている。(吉)









