春

 日が長くなった。札幌のビル街の夕暮れ時に、空を眺めてそう思う。突然、吹雪になったりする日もあるが、コート無しでも歩けそうな暖かな日もある。冬が幼い春に、少しずつ道を空け始めている。

 女性シンガー・ソングライター、あいみょんが作った歌に「ハルノヒ」がある。〈僕らは何も見えない 未来を誓い合った…〉〈どんな未来が こちらを覗(のぞ)いているかな…〉。住み慣れた駅のプラットホームを舞台に、将来の不安と希望を描いた少し、切ない歌だ。

 卒業、進学、就職、人事異動のシーズン。旅立ちと別れの季節になった。道庁2階の大所帯の道政記者クラブも異動の時期に入った。特に全国紙の記者たちの異動の回転は速い。1年の付き合いという記者も少なくない。「大変お世話になりました。また東京に戻ります」、「今度は京都です」―。「札幌は楽しめたかなぁ?」。そんな会話を交わすことが増えた。出会いがあれば、別れは必ず来る。ただ、昨年1月以来、一緒に新型コロナウイルスの取材に追われた記者たちも多く、寂しい。

 本道では4カ月以上の長期に及んだ「集中対策期間」が一昨日、ようやく終了した。昨春は道独自の「緊急事態宣言」解除後、異動や進学などで感染が急拡大した経験がある。鈴木直道知事も先週末の記者会見で「年度末と始めの対応が極めて重要だ」と再拡大、リバウンドに警戒感を示した。コロナとの闘いは2年目の春を迎える。(広)

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